リーガロイヤルホテルの『たからさがし』
今回は『琳派』の継承者、尾形光琳の燕子花(かきつばた)をモチーフにした綴織のご紹介です。
絢爛たる琳派の名作と工芸の出会い
燕子花
「伊勢物語」の第9段「東下り(あづまくだり)」の中に、八橋という燕子花の名所が登場します。
江戸を生きた琳派の巨匠、尾形光琳(1658-1716)はその場面を題材に、2作の洒脱な屏風を描きました。
一双は国宝「燕子花図屏風」
その10年ほど後に描かれたのが「八橋図屏風」です。
対をなす「八橋」と「燕子花」
ホテルを設計した吉田五十八は、新館(現:タワーウイング)の設計にあたって、光琳の描く燕子花を館内の意匠やデザインに取り入れています。
タワーウイング2階ロビーに掛けられている綴織「燕子花」もその一つ。
「燕子花図屏風」をアレンジして、華やかなタペストリーとしました。
大宴会場「光琳」にはこれと対をなす綴織「八橋」が飾られています。
近づいてよく見てみると、色のにじみやグラデーションが、少しずつ異なる色の糸を織り込むことで繊細に表現されています。
綴織は絵柄に合わせて染糸を一本一本すくい上げながら織り上げる技法。
元絵の構図の妙やゴージャスな色使いもさることながら、工芸品としても価値の高い逸品です。
他にも、ホテルの前庭にある照明や正面玄関のガラス戸などに、燕子花を象ったマークを見ることができます。
前庭の照明
正面玄関
ガラス戸にある燕子花モチーフ
抽象化されたシンプルな意匠の中に、絢爛たる光琳の絵のエッセンスが潜んでいるのです。
たからもの 燕子花
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琳派
17世紀の初め、本阿弥光悦と俵屋宗達が出合い、新たなスタイルの芸術が誕生します。
金・銀を使った豪華な色使い、大胆な構図はまさに現代に通じる表現であり、時を経ても色褪せることなく人々の心をとらえ続けています。
琳派は『派』が付くものの、狩野派などとは異なり、師弟関係や血縁関係に基づくものではなく、俵屋宗達から約100年後に尾形光琳が、さらにその100年後には酒井抱一がそれぞれに私淑から継承したことから、一つのくくりとして『琳派』と呼ばれるようになったものです。
琳派の特徴の一つとして古典の世界をテーマにした作品があります。
燕子花図屏風は、八橋図屏風ともに伊勢物語の八橋の場面を描いたもので、平安時代の公家の雅な世界を人物を省いて表現した物語絵の最高傑作ともいわれています。
陶芸家の尾形乾山は光琳の実弟で、乾山のやきものに光琳が絵付けを施すなど、異分野の作家による作品も多く見られるのも琳派の特徴です。
前回ご紹介した陶芸家のバーナード・リーチはこの尾形乾山の7代目を襲名しています。
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