デンマークを代表する家具デザイナー、ハンス・J・ウェグナー(Hans J. Wegner)は、デンマーク家具を愛する人のみならず、一般の日本人にとっても実は大変馴染みの深いマイスターであると思います。雑誌やテレビでも大変良く見かけるYチェア。デンマークはもとより、日本においても大変な人気を誇っています。座りやすく扱いやすいことはもちろん、ウェグナーらしい暖かみ溢れる作品です。
14才から家具職人の見習いとしてキャリアをスタートさせたウエグナーは、E.モラーとF.ラッセン、そしてアルネ・ヤコブセンのアトリエで働き、自ら学んだコペンハーゲン美術工芸学校では後年、後進の育成にあたり、数々の家具メーカーと協働して優れた家具を世に送り出してきました。その活動は、ひとつの肩書きでは表すことのできない、まさに巨人といえる人ですが、残された仕事から伝わってくるのは、「ものづくりの良心」ともいえるものではないでしょうか。
1998年第8回国際デザイン・アウォード受賞時に、ウェグナーが寄せた言葉には、作り手としてのウェグナーその人の言葉が直に聞こえてくるように感じます。
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手で触ってみてください。
そしてよく見てください。
曲線を手で追って、つなぎ目を見て、そして心の流れを感じ取ってください。
そして皆さまに私の心、私の伝えたいことを、
ご自身の体を通して少しずつでも感じ取っていただきたいのです。
耳を済まして、作品が自分の言葉で皆さまに話しかけている物語を、
ぜひ感じ取っていただきたいのです。
私は最も簡潔に明確にそれが伝わるようにデザインしました。
しかし、最初から私の心の物語が一挙に語られるというよりも、
どちらかと言えばそれはそれを使っているうちに、少しずつ伝わってくるでありましょう。
ですから、ぜひそうされることをお勧めいたします。
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良い作品は、使い手とデザイナー・作り手との間に時を超えた対話を生み出します。ダンスクムーベルギャラリーでは、8月5日(土)より、ウェグナーの代表作「ベアチェア」を展示販売する企画展を行います。この機会に是非、ウェグナーの心に触れ、体感ください。初日には、デンマークを母国にもつスカンジナビアンリビング東京支店代表、羽柴健氏をお招きしてのトークショーも予定しております。皆さまのご来店を心よりお待ち申し上げます。
イベントの詳細につきましては以下のページをご覧くださいませ。