ポール・ケアホルムが1960年にデザインしたダイニングチェア、PK9。こちらのチェア、「3本のステンレススチールの脚」と「座面(シェル)」より構成されています。
メーカーはフリッツ・ハンセン社より製作。
大変スッキリとしたデザインで、ポール・ケアホルムの家具の特徴でもある、「構造の美しさ」をこちらのPK9にも感じることができます。ケアホルムの家具は構造を知ることがその美しさを知ることに繋がってまいりますので、今回は、こちらのPK9を実際に分解し、構造についてご覧いただきたいと思います。
まずは、椅子を裏返しにし、座面と脚部の3か所のジョイント部分を取り外します。
このように、PK9の座面と脚は「一体」ではなく、別々になります。ケアホルムはもともと、輸送費を抑え様々な国や地域に家具を届けたいと考えていました。そのため、小さな梱包状態で送り現地で組み立てが出来るようデザインした家具が多いのです。PK9もまさにそのような考え方に基づいていると言えます。
下の画像が、座面から取り外したPK9の脚部です。3本の脚のうち、後脚の1本だけ、スチールが短くなっています。座面の大きさ・形状や脚を取り付ける位置を考慮し、この1本だけ短くなっています。
こちらの脚部ですが、黒い金属パーツにステンレススチール3本をネジで取り付けることで構成されています。
こちらの黒い金属パーツと、それに取り付けられているスチールの脚を、合計6本のネジを外し分解します。
取り外した全てのパーツを並べてみました。
座面やスチールの脚ふくめ、「全6種類、合計18点」のパーツによりPK9は構成されておりました。
少ない手数で最大の効果が生まれるよう、大変良く練られた作品と思います。
ポール・ケアホルムの作品に共通する重要な特徴です。
また、ケアホルムの作品は、構造上パーツ交換が可能となっているものが多いため、何かの拍子にパーツが欠損してしまった場合など、そのパーツを交換することで再び長くお使いいただけます。このように交換可能な構造にすることで持続性の高い家具になっているという点にも、ケアホルムの心遣いを感じます。
一見するとレザーとスチールで出来ているクールな家具にも見えますが、実は過剰に気取ったところのない、暖かみのある家具と思います。
ケアホルムの家具のパーツにつきましては、以下のブログも是非ご覧くださいませ。
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