ポール・ケアホルムのソファ “PK31”

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1950年代を中心に数多くの素晴らしい作品を発表したデンマーク人デザイナー、ポール・ケアホルム(1929~1980)。木製の家具が主流の中、スチールを主な素材として扱いたケアホルムの作品は大変画期的なものであり、それゆえ彼は、”鬼才”とも呼ばれていました。

 

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代表作であるラウンジチェア“PK22”のフレームを確認するポール・ケアホルム(右)

 

今回のブログでは、ポール・ケアホルムがデザインしたソファ、“PK31”についてご紹介したいと思います。

メーカーは、フリッツ・ハンセン社にて製作。

 

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【PK31 無駄のないスケール感】

ポール・ケアホルムにより1958年に発表されたソファ、“PK31”。まずは何と言いましてもそのコンパクトなサイズ感が大きな特徴です。2人掛けのもので幅が137cm。海外製のソファの中では大変コンパクトなサイズです。その一方で、このようにコンパクトでありながら、座面部分はゆったりとしており、座る際には申し分ありません。

一人掛けのタイプは縦・横・高さが全て76cm、座面の高さはその半分の38㎝。非常に美しい比率に収まっております。

 

PK31 sofa series with PK61A coffee table and PK33 stool. All designed by Poul Kjærholm.
PK31の三人掛けと一人掛け。一人掛けはPK31/1、二人掛けはPK31/2、三人掛けはPK31/3という品番になります。

 

【独立型の構造】

PK31は「ソファ全体が一体」となった構造ではなく、「一人が座る部分(一人掛けモデル)を連結させ、2人掛け、3人掛けのソファをつくる」という構造になっています。そのため、理論上は1人掛け、2人掛け、3人掛け、4人掛け、5人掛け、というようにいくつでも増やしていくことが可能です(デンマークのフリッツ・ハンセン本社には6人掛けのモデルが使用されています)。

一人一人の座る部分が独立しているため、自分の隣に人が座っても、自分が座っている部分は影響を受けにくく、大変快適にお使いいただけます。このような、「一人掛けのラウンジチェアの延長でソファをつくる」という構造こそが、凛とした空気感をたたえるPK31の最大の特徴、ケアホルムらしさであると考えます。

ケアホルムのソファは「ソファであって、ソファでない」のです。

 

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フリッツ・ハンセン本社にて使用されているPK31の6人掛け。

 

【透明感のある存在】

ポール・ケアホルムは、「家具は部屋の中央に置く物である」と考えていました。部屋の中央に置いても圧迫感を感じさせず、「空間に溶け込む」ようにするため、ケアホルムは家具の重心を低くし、繊細で細いフォルムを用い、抜け感を生み出しました。この結果、ケアホルムの家具はいずれの作品も「透明度の高い家具」になっています。PK31も他のケアホルムの家具と同様、凛とした空気感をたたえつつ、良い意味で空気のような存在感を持っています。

 

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【浮遊する座面】

通常ソファは、四隅に脚をつけたデザインが多く見受けられますが、PK31の脚部は中央に集約させるようなデザインとなっています。その為、遠目で見た際に床面から浮いているかのような軽やかさを感じさせます。ソファ本体から床まで伸びる脚部の、柔らかい曲線・ラインもとても見事です。手のひらを広げてそっと指先で接地しているかのような繊細さがあり、とても優しさを感じさせる美しい脚部と思います。

 

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【アーム】

ケアホルムの家具はシンプルゆえにちょっとしたバランスがデザイン・座り心地にとって命取りになります。そのため、細部・ディテールにも大変なこだわりを持っています。アーム部分の薄さや角のラインなどにもそのことがうかがえます。無駄を省いたほっそりとした美しいアームは、脚部の繊細なスチールと綺麗に調和します。アーム部分の角も大変シャープで、他のソファのアームと比較するとそのストイックさが際立ちます。

 

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【見えないディテール】

通常は見えない箇所ですが、背もたれ・座面のクッションを外した姿にも隙がありません。縫製も非常に美しく、「360度どこから見ても隠す部分が一切ない」と言われているケアホルムの家具を体現しています。

 

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【特筆すべきかけ心地】

そして、特筆すべきはその座り心地。ケアホルムの作品は、その彫刻的な美しさに注目しがちですが、考え抜かれたストイックなデザインとは対照的に、座り心地の良さに驚かれる方も多いです。幅、奥行き、高さ、すべてが絶妙なバランスでデザインされ、男性女性、身長や体型に関わらず、ゆったりとおくつろぎいただけます。

座面と背もたれのクッションは適度な硬さを持っているため、長い時間お座りいただいても疲れにくくなっています。使えば使うほど、座る人の身体にクッションが馴染み、より一層、快適なかけ心地になってまいります。

 

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背もたれはクッションの中材が偏らないよう9つの小さなかたまりに分かれております。使うにつれ、その9つが徐々に分かるようになり、座り心地も見た目の味わいも増してきます。

 

【インテリアスタイルに対する汎用性の高さ】

ケアホルムの家具はブラックレザーのイメージが強いため、どうしても男性的なイメージでとらえられることが多いですが、実は女性のお客様からお気に召して頂くこともとても多いです。経験上、ケアホルムのことがお好きな方の男女比は50:50か、むしろ女性の方が少し多いかと思います。

レザーお色味を変えるだけでかなり印象が異なります。以下の2枚の画像でも、全く印象が異なることと存じます。

 

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上の2枚の画像はほぼ同じ家具の組み合わせですが、レザーのお色味や周りの空間で全く異なった印象になっています。このようにレザーのお色味を変えるだけで雰囲気が一変してまいります。

 

【ポール・ケアホルムとダンスク ムーベル ギャラリー】

当店、ダンスク ムーベル ギャラリーではオープン以来、常にPK31を展示してまいりました。画像だけではなかなかお伝えしきれない魅力を是非とも皆様に体感していただければと願っております。

 

ポール・ケアホルムのソファ、“P31”。

ソファであってソファでないそのかけ心地を、是非ともお試しいただければ幸いでございます。

 

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※以下の商品ページも是非、ご覧ください※

 

PK31

 

 

【インテリアコーディネート】

※当店ダンスク ムーベル ギャラリーではインテリアコーディネートも行っております。

詳細はこちらのページよりご覧くださいませ。

 

DANSK MØBEL GALLERY(ダンスク ムーベル ギャラリー)

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