2022年 デンマーク訪問 ④

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2022年に訪問したデンマークについてのブログ、前回の第3回目は、到着した初日(6月12日)の後半部分につき書かせていただきました。

2022年 デンマーク訪問 ①

2022年 デンマーク訪問 ②

2022年 デンマーク訪問 ③

本日は、その翌日に訪問したポール・ケアホルム邸につきお伝えいたします。


【ポール・ケアホルム】

ポール・ケアホルムは1929年生まれのデンマーク人デザイナー。ケアホルムが主に活躍した1950年代、デンマークでは木材を使った家具が主流でした。もちろん、ケアホルムも木材を用いた家具を数多くデザインしていますが、ケアホルムの代表的なイメージは、スチールを用いた繊細でエレガントな家具。ダイニングテーブルのPK54をはじめ、多くの名作をデザインしました。

当店でも大変人気の高いダイニングテーブル、「PK54」


ケアホルムの家具でレイアウトされたリビング。
柔らかな色合いです。


和室への設え。ケアホルムの家具は和とも相性が良いです。


ケアホルムにつきましては、以下のページでも詳しく書かせていただいております。こちらも是非合わせてご覧くださいませ。

POUL KJÆRHOLM(ポール・ケアホルム)



【ポール・ケアホルム 自邸】

ケアホルムの自邸は、建築家であった奥さまのハンナ・ケアホルムにより設計されました。海沿いに建つフラットルーフの平屋です。今まで書籍や画像では目にしていましたが、実際に訪問するのは今回が初めてです。今回のデンマーク訪問最大の目的がこの「ポール・ケアホルム邸への訪問」です。



【アプローチ~エントランス】

ケアホルム邸はコペンハーゲンの北、海に面した立地に建っています。この周辺は高級住宅街で、芸能人・政治家・著名人の方が多く住まれているエリアとのことです。今はケアホルムの息子さんであるトーマス・ケアホルムさんの一家がケアホルム邸に住まれています。

大通りから海に向かう細い道に入り、角を曲がった突き当り、ケアホルム邸へのアプローチが見えてきました。

木が覆いかぶさるように、グリーンのトンネルを作っています。


別世界に入るかのような緑のアプローチを抜けると、ケアホルム邸が佇んでいます。


突き当りに位置しますので、とてもひっそりとしており、静かな雰囲気です。
平屋で、屋根は勾配のないフラットルーフです。


こちらがエントランス。木製のドアや枠、壁面がとても優しい穏やかな印象を与えます。
ドアの周りはガラスで、建物内部に採光がとれるようになっています。


フラットルーフの屋根が庇のように玄関前まで続いているため、玄関前に立つと「守られている」感じがして、とても落ち着きます。雨の日に帰って来てこの庇部分の下に着いたときはホッとするだろうな、と想像していました。



【リビング・ダイニング 全景】

エントランスからいよいよケアホルム邸に入ります。今まで写真などで見ていたので何となくのイメージはついていましたが、とてもシンプルでありながら暖かみのある内装です。

エントランスからリビング・ダイニングに続くドアを開け中に入ります。
ドアの位置から右手側に、このようにリビングと書斎スペース(一番奥)があります。


部屋の形はとてもシンプルな長方形。
天井は高くなく、落ち着くサイズ感の空間です。


反対側からの眺め。
画像左に映っておりますドアがエントランスから入ってきたドアです。
向こう側がダイニングスペースになっています。


ケアホルム邸のリビング・ダイニングは壁などで仕切られておらず、書斎スペースも含め家具によりゾーニングがなされています。開放的で奥行きを感じさせる手法です。

また、いま住まれていらっしゃるトーマスさんにお話をお伺いすると、住みながらレイアウトなどは頻繁に手を加えているようでした。かつてはソファ「PK31」も2人掛けでしたが、今は3人掛け。センターテーブルも、以前のPK61からPK65になっており、照明なども変わっています。

そこに住まう方の暮らしがありますので、少しずつ変化していくのは当然のこと。住み手の個性やそのときのライフスタイルを感じられまして、改めて「住空間の良さ・暖かみ」を感じました。



【ダイニングスペース】

ダイニングスペースも必要かつ十分な広さです。

ダイニングテーブル「PK54」とダイニングチェア「PK9」。
大きな縦構図の絵画を壁面右側のふった位置に飾っており、余白がとても活きています。


白い壁面を背景に何気なく置かれたPK9。シルエットが美しく、絵になります。
圧迫感を感じさせないケアホルムの家具ならではの美しさを感じます。


エントランス側の壁面には、モーエンス・コッホのシェルフが設置されていました。
こちら側の壁面は木材を使用しています。
ケアホルム邸は素材のバランスが本当に絶妙で、うるさい印象はもちろんなく、
寂しい印象も与えず、大変落ち着く暖かみのある内装でした。


【書斎スペース】

ダイニングスペースと対極に位置するのが書斎スペース。リビング・ダイニングに入り一番右手奥に位置します。

ソファの向こうが書斎スペースです。


壁面のモーエンス・コッホのシェルフはケアホルムが亡くなった後、ハンナさんが設えました。
シェルフの位置はトーマスさんがその時その時で入れ替えているようです。


こちらの画像は娘さんのクリスティーヌさんにいただきました。
ケアホルムがデスクで仕事をしている画像です。
当時から大枠のレイアウトは変わりませんが、このときはいかにもケアホルムらしいすっきりとした印象の空間です。
空間にもケアホムルの人となりが表れていると思います。


デスクに向かうケアホルム。左手にはタバコが見えますが、ヘビースモーカーでした。
灰皿はスペイン旅行の際に買い求めた銀製のもの。



【ケアホルム邸にまつわる話】

ここで、トーマスさん・クリスティーヌさんからお伺いしたケアホルム邸にまつわるお話をご紹介します。


①床暖房について
トーマスさんが教えてくれましたが、当時のデンマークとしては大変珍しく、ケアホルム邸は床暖房を導入しました。デンマークでも最先端で、当時床暖房を使っている住宅はほぼなかったとのこと。

床暖房を導入することで、オイルヒーターのような大きな暖房器具を室内に置く必要がなくなったため、すっきりとした見通しの良い空間が実現できました。

ケアホルムや奥さまで建築家のハンナさんは最先端の技術を取り入れることに積極的であった、とのこと。このような意欲的な姿勢あってこそ実現したすっきりとした空間だったようです(余談ですが、クリスティーヌさんは、「ポール・ケアホルムがもしいま生きていたら、再生可能なプラスチックなどを家具の素材として取り入れただろう」、ということも仰っておりました)。


②バリアフリーについて
ケアホルム邸は基本的にバリアフリーな構造になっています。これは、もともと脚の悪かったケアホルムが将来車いすでの生活になるだろうと奥さまのハンナさんが考え、最初からバリアフリーにされたようです。



【バルコニー】

それでは最後に、バルコニーについてご紹介します。ケアホルム邸は海に面しておりますので、バルコニーがまたとても気持ちのよいスペースになっています。

シンプルなバルコニーですが、必要十分なスペースだと感じました。


建物が平屋、屋根がフラットルーフだからでしょうか、
他の場所でみるよりも海と空の横の広がりを強く感じます。



今まで写真などで見ていたケアホルム邸ですが、そのせいなのかもしくはサイズ感・素材のせいなのか分かりませんが、リビング・ダイニングに入って最初にわいた感情は、「知っている場所に帰ってきた」というような、どこかしら馴染のあるとても安心感のあるものでした。


次回のブログでは、このあと訪れましたケアホルム・コレクションという新しいスペースについてご紹介いたします。



ケアホルム邸の猫







【インテリアコーディネート】

※当店ダンスク ムーベル ギャラリーではインテリアコーディネートも行っております。

詳細はこちらのページよりご覧くださいませ。

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