今ではデンマーク家具は世界的にも有名になり、シンプルでモダン、機能的でもあると同時に大変美しいその家具は、全世界に普及しています。世界的にはもちろんのこと、日本でもデンマークの家具は大変な人気があり、それは一過性のブームではなく、日本に定着したように思われます。このようなモダンデンマーク家具がまさに誕生した瞬間ともいえる名作、“フォーボーチェア”をこのたびはご紹介いたします。
<デザイナー “コーア・クリント”>
フォーボーチェアをデザインしたのは、デンマークモダンデザインの父と呼ばれるコーア・クリント。コーア・クリントにつきましては、以前にもブログ(Red chair – デンマークモダンデザインの父、コーア・クリントのデザインした椅子ー)にてご紹介させていただいております。
コーア・クリントがフォーボーチェアをデザインしたのは1914年。その当時のデンマークには今のような「デンマーク家具」という枠組みの家具は存在せず、主にイギリスなどから影響を受けた家具を作っていました。特に、猫脚家具に代表されるチッペンデール様式を模したものを数多く作っていたようです。
<コーア・クリントの残した2つの哲学>
そんな時代、コーア・クリントはデンマーク家具の基礎となる哲学を2つ、提唱しました。一つは、「リ・デザイン」。全くのゼロから家具をデザインするのではなく、すでに価値の認められた家具の良いところを見直し、さらに機能的かつシンプルにするという考えです。この考えにより、コンセプトに溺れることのない、地に足のしっかりとついた家具がデザインされることとなりました。
2つ目は、人体寸法や物の寸法を考慮したうえで家具をデザインする、というもの。この考えに基づき、機能的かつ実用的な家具が生まれていきました。
コーア・クリントは1924年にデンマークの王立芸術アカデミーの家具科初代教授に就任。この2つの哲学を多くの学生に伝えていきました。この教えが、今のデンマーク家具の根底には流れているのです。
<フォーボー美術館>
コーア・クリントは1914年、デンマーク・フィン島に建築されたフォーボー美術館のための椅子として、フォーボーチェアをデザインしました。美術館を設計したのは建築家カール・ペーターセン。以前よりコーア・クリントの才能に注目していたペーターセンは、この美術館の仕事に際し、自身の事務所にクリントを雇用。このようにして、クリントがフォーボー美術館の家具を担当することとなったのです。
フォーボー美術館は、展示品だけでなく建築・家具・什器など、目につくものを全て芸術品とする「総合芸術」を目指していました。その「総合芸術」を標榜する美術館の椅子としてデザインされたのが、フォーボーチェアです。床の綺麗なタイルが見えるよう、背面と座面は籐編みになっており、展示品の前に椅子を持っていきゆっくりと展示品を鑑賞できるよう、軽量であり、かつ、座面はゆったりとデザインされています。
<歴史の転換点に位置する作品>
コーア・クリントの研究論文著者である建築家のゴーム・ハアケアは次のように語っています。
“コーア・クリントのフォーボーチェアはデンマーク家具の転機を象徴するデザインであり、装飾的な家具が中心であった時代の家具と、デンマークをデザイン王国にしたデニッシュデザインとの境に位置する作品である”
<古代は我々よりももっとモダンである>
一見するとクラシックな印象を受けるフォーボーチェアですが、そこには、モダンデンマークデザインの幕開けを告げる、「モダン」の本質が含まれています。コーア・クリント自身が語る、“古代は我々よりももっとモダンである”、という言葉は、まさにフォーボーチェアの存在を端的に表しています。
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