当店のグループ店、銀座のDANSK MOBEL GALLERYにて12月2日より、奈良県の中上さんと共に開催する企画展「古美術をしつらえる」。
昨年に続き、本年も魅力的なお品を多数ご用意しております。
イベント開催に先立ちまして、大阪店のブログでも皆様にご覧いただける作品をご紹介していこうと思います。
それぞれに表情のある、色彩豊かで味わい深い骨董との新たな出会いに思いを巡らせていただき、東京にお立ち寄りのご予定のあるお客様、そうでないお客様にもご興味をお持ち頂ければ幸いです。
■緑釉皮囊壺(遼時代/10世紀)
中国の遼という国は、西暦916年に遊牧民族である契丹族(キッタンゾク)が建国し、政治は遊牧民と農耕民を別々に支配する二重体制をしいていた一方で、中国からの影響で仏教も拡がりをみせ、独自の発展を遂げた国でした。
遼の陶磁器は西方ペルシャなどからの影響を受けているため、遊牧民を彷彿とさせる器形が散見され、優美な中にも素朴さが見え隠れするのが魅力です。
本品は鮮やかな緑釉の発色とおおらかな形が見どころで、「モダンなフォーク・アート」というべき不思議な雰囲気を漂わせております。
自然光の入る明るいモダンな空間にしつらえてもとても魅力的ですし、マホガニーのチェストなどに合わせていただいたら、しっとりとした雰囲気におさまるのではないでしょうか。
・高 215mm
・付属品:桐箱
■加彩女子(唐時代/7〜8世紀)
中国の唐王朝は貴族層が支配した王朝文化で、諸外国からの文化・文物が陸路と海路からおびただしく流入し、大変華やかで広大な一文化圏を築き上げました。
また思想の面でも仏教が大きく関与しており、唐を経由してわが国にも仏教が流布したのは周知の通りです。
本作は素朴な中にも優美さをたたえる造形が魅力の庸です。服装から、王に仕えた女子の一人だと思われます。
あどけない顔立ちと鮮やかな彩色が心を和ませてくれる作品です。
・高 260mm
・付属品:※桐箱(加藤卓男識箱)
※古代ペルシア陶や古代中国陶の技法を研究し、自身の作品製作の糧とした加藤卓男(人間国宝/1917〜2005年)による識箱に納まります。
■白磁透彫芭蕉文筆筒(朝鮮時代/19世紀)
500年余り続いた李氏朝鮮王朝は儒教を是としながら独自の文化形成を果たしましたが、殊に陶磁器類においては多種多様な品を生み出していました。
その中でも「両班」と呼ばれる知識階級の人々に愛されたのが文房四宝で、白磁をベースに様々な、非常に細かな手仕事の作品が焼成されました。
特に筆筒は文人としての誇り・プライドをかけた道具であり、彫の技術がさえわたる作品が多いのが特徴です。
日本では館蔵品を含め、多種多様な作品が受け継がれておりますが、朝鮮時代後期の広州分院里(官窯)を代表する筆筒といえば、本作の透彫芭蕉文ではないでしょうか。
優れたモチーフに青みを足した、透き通るような白色は和洋の空間を問わず高い品格を与えてくれます。
李朝官窯の可憐さを代弁する作品の一つです。
・高 128mm
・付属品:仕覆、桐箱(*作品の一部に共直しがございます)
■金銅菩薩立像(隋〜唐時代/6〜7世紀)
唐に先立つ隋王朝は、楊堅が即位し、約370年続いた魏晋南北朝の分裂に終止符を打ちました。
隋は短命に終わりましたが、仏教を厚く信仰し、国内外に流布することで思想的、文化的にも大きな役割を果たしました。その後は唐に統一され、外来文化を積極的に取り入れることで、芸術の爛熟が始まります。
本作は像高わずか90㎜の小仏ですが、きらびやかな装飾や白く厚い鍍金(メッキ)は健在で、華やいだ雰囲気が特徴です。
また、この時代特有の「アルカイック・スマイル」をたたえたご尊顔は忙しい日々の癒しとなってくれるのではいでしょうか。
アルカイック・スマイル・・・古拙のほほえみ。口唇の両端がやや上に上がり、わずかなほほえみを浮かべるようにみえるもの
・像高 90mm
・付属品:桐仕込箱
企画展『古美術をしつらえる』
会期:2023年12月2日(土)~12月10日(日)12時~18時
※定休日:12/6(水)
※会期中はご予約不要です。
※中上さんは2日(土)・3日(日)在店予定です。
ご質問等ございましたらお気軽にお問い合わせください。
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