デザインの過渡期、1950年代は様々な名作が誕生します。
1951年 ポール・ケアホルムによるPK25の発表
ポール・ケアホルムはデンマーク美術工芸学校の卒業制作としてPK25を発表します。
家具職人だったケアホルムはコペンハーゲンの美術工芸学校で、ハンス・J・ウェグナー やコーア・クリントに師事します。
ウェグナーから、卒業制作として求められた課題はオリジナルをつくること。
そして彼は、まるで木材を扱うように自由な発想でスチールを操り、フレームとロープのたったの2つのエレメントで構成されたチェアをデザインしました。
PK25はのちにフリッツ・ハンセン社で製品化され、現在も販売されています。
1956年にデザインされたPK22はPK25の座り心地の問題点を改善された製品で、美しさと機能を兼ね備えた名作として世界中で愛されています。
美術学校卒業後、フリッツ・ハンセン社に勤めたケアホルムは、成型合板を用いた量産可能なチェアのデザインに取り掛かります。
そして完成させたのが幻の『PK0』です。
しかしながらこのPK0は製品化されませんでした。
なぜなら、そこには時のスター、アルネ・ヤコブセン の存在があったのでした。
1952年、1955年 アルネ・ヤコブセンによる成型合板の名作が誕生
1952年 アルネ・ヤコブセンが世界初の背と座の一体の成型合板のチェア、アリンチェアを発表。
そして
1955年 さらに改良を加えたベストセラー、セブンチェアが誕生します。
ここからアルネ・ヤコブセンの生み出す名作と共にフリッツ・ハンセンはますます繁栄していきます。
この時期にフリッツ・ハンセンから発表された製品は、ハンス・J・ウェグナーやヴァーナー・パントンなどのデザイナーとのコラボレーションもありました。
フリッツ・ハンセンがアルネ・ヤコブセンのアリンコチェアの製作をはじめることになり、自身のデザインが製品化されなかったポール・ケアホルムはフリッツ・ハンセン社を去ることになります。
ポール・ケアホルムの名作の数々は、この後1982年にフリッツ・ハンセン社で製造・販売が始まり、現在も続いています。
1960年 SASロイヤルホテルオープン
アルネ・ヤコブセンが『総合芸術』として手掛けたSASロイヤルホテルがオープン。
SASロイヤルホテルの為にデザインされたヤコブセンの代表作は、エッグチェア、スワンチェア、ドロップ、スワンソファ、3300シリーズ、ポットチェアなど。
デンマーク研修報告2018③ ~606アルネ・ヤコブセンスイート~
1962年 続いてアルネ・ヤコブセンはオックスフォードをデザイン。
デンマークを代表するデザイナーのひとり、アルネ・ヤコブセンは、スウェーデンに亡命していた第二次大戦期間中、デザインに関わることができませんでした。
1971年に亡くなる直前まで建築、デザインを続け、その名作は今でも多くのプロダクトとして残っています。
1968年 ピート・ハインとブルーノ・マテソンによるスーパー楕円テーブルを発表
1970年代はあの奇才のデザインも製品化されました。
1974年 ヴァーナー・パントンによるシステム1・2・3チェアを発表
独特な曲線を持つパントンのデザインは、残念ながらフリッツ・ハンセンでは製造中止となっております。
次回はケアホルムの復活!1980年代からをご紹介します。