HERE COMES THE SUN


1969年、11枚目のアルバム『Abbey Road』に収録されたビートルズの名曲、『Here comes the sun』は、ジョージ・ハリスンがエリック・クラプトンの家で創作したといいます。


連日の会議に嫌気がさしていたハリスンは、アップルレコードとの打ち合わせをキャンセルし親友のエリック・クラプトンの家に向かいます。

クラプトンのアコースティックギターを借りて庭を歩き回っていたとき、その年初めて春らしい日差しを感じて、自然にこの曲の歌詞とメロディーが浮かんできたのだそうです。


ビートルズの事実上の解散が1970年、その少し前の出来事です。

グループの中で何があったのかは想像することしかできませんが、ジョージ・ハリスンがこの時書きあげたのは、太陽が昇り、暖かい春がやってくることを歌った、希望に満ちた優しい曲だったのです。


ペンダントランプ『HERE COMES THE SUN』


幻想的な魅力を放つこの照明は1970年、フランスの建築家ベルトラン・バラスによってデザインされました。

アルミ製の球型のシェードは、下部の開口から下方向へ十分なあかりを届け、中心の隙間から覗くリフレクターに反射した光はぼんやりと周りを照らします。

ひとたびあかりを灯せば、あたりを覆っていた闇は生々しさを失い、空間を暖かく安心できるものに変えてしまう、まるで魔法のようなペンダントです。


カラーはブラックとホワイト、リフレクターはホワイトとカッパーから選ぶことができ、それぞれの組み合わせによって印象が変わります。


デザイナー ベルトラン・バラス

1935年生まれのフランスの建築家、ベルトラン・バラス。

彼は故郷のフランス南西部、スペインとの国境近くの都市トゥールーズに流れるガロンヌ河に沈む夕日を眺めると、心地よいとても幸せな気分になるという。

BERTRAND BALAS

1962年、ベルトラン・バラスはパリで活動を始めますが、人間関係によるストレスや、大都会の交通事情などに疲れ、故郷を想うようになります。

拠点をトゥールーズに移したバラスは1965年、20世紀を代表するオランダのライティングメーカーのひとつ、Raak(ラーク)のディレクターと出会います。

バラスはRaakの設立者であるロックホーンにデザインのアイデアを送り、いくつかのプロジェクトを重ねるなかで1970年、ビートルズの名曲の名を冠した『HERE COMES THE SUN』が誕生します。


しかしこの時、建築家として富裕層を中心に活動し、自分を見失うほど多忙を極めていたバラスは、デザイン分野で創作する自由な精神を無くしてしまい、この照明は姿を消すことになります。


DCW Editions

フランスの照明ブランドDCW Editionsの創立者のひとり、フレデリック・ウィンクラーは、すでにリタイアしていたバラスに電話を掛けます。


彼は決してノスタルジックな気持ちに駆り立てられたわけではなく、『HERE COMES THE SUN』をはじめとする過去の素晴らしいデザインを未来へ繋げたいという強い思いがありました。


そして2013年、『HERE COMES THE SUN』が復刻され、バラスは照明クリエーターとしての第二の人生を歩むことになるのです。


人間の体内時計は光の色温度に敏感に反応します。夕暮れにあかりを灯すとき、人の脳は自然の営みに即した色温度を求めるのです。

夕暮れに灯すキャンドルの炎のような、色温度が低く赤みのあるあかりは、心身を安らかな休息状態へ移行するのを助け、リラックスして心地良いと感じます。

それは、ジョージ・ハリスンが感じた春の暖かい日差しであり、ベルトラン・バラスの好きなガロンヌ河に沈む夕日と同じであったと理解ができます。



今回ご紹介した『HERE COMES THE SUN』も優しく柔らかなあかりが、安らぎへと導いてくれるペンダントです。

忙しい毎日で、ゆとりがないなと感じたら、ぜひ上質なあかりを試してみてください。

脳が反応し、あなたに何か新しい変化を起こしてくれることでしょう。


もしかしたら傑作が生まれるかもしれませんね。








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