1872年に創立されたフリッツ・ハンセンは、2022年の今年創立150周年を迎えます。
記念すべき年にポール・ケアホルムの名作、PK61に新しい代理石が加わります。
FAUSKE(ファウスケ)大理石
ノルウェーのファウスケを原産地とするホワイトグレーの美しい大理石は、ケアホルムが愛したポルスグルン産の大理石に極めて外観が似ています。
ロール仕上げが施された大理石の表面は、波状の構造美を表しています。
鉱物ならではの含有物によって唯一無二の個性を放ち、ゴールドや透明なダイヤモンドを想起させる独特の輝きとともに光を反射します。
PK61 コーヒーテーブル
サテン仕上げステンレススチールベース
ファウスケ大理石 NEW 価格 646,000円(税込710,600円)
展示の予定はまだ決まっておりませんが、サンプルのご用意がございますので
ご興味がありましたらぜひお申し付けくださいませ。
ポール・ケアホルムの名作 PK61
1956年、ポール・ケアホルムによりデザインされたPK61は、同時にデザインされたPK22ラウンジチェアを引き立てるためにデザインされたテーブルでした。
初期のデザインの一つですが、このテーブルはすでにケアホルムのデザイン哲学を示すものとなっています。
既成概念に支配されることなく生み出した幾何学的なデザインは、素材(特にスチールと天然素材)についての敬意と探求心を持つケアホルムだからこその作品であり、その考え抜かれた美しい構造は、彼が工業デザイナーから家具建築家へと進化したことを物語っています。
PK61の構造
脚部の構造についてはガラス天板によって明確に露出することなり、魅せる構造の細部まで分かりやすく、興味深い。
PK61の脚部は、床に伸びる垂直な細い板状のスチールに、もう一枚を水平に溶接した単純4個のパーツでできています。
これらを風車のように組み合わせ、それぞれを2点をスクリューで接合することで剛性の高い正方形の台座を作り出しています。
脚の役割をする垂直のスチールは、水平のスチールとの結合部より30㎜上方に伸びて天板と同じ高さとなり、天板を固定する役割も担っています。
また、30㎜の厚みの大理石と高さを揃えるため、ガラス天板にはスペーサーが使用されています。
このスペーサーは1982年にフリッツ・ハンセンが生産を始めた際に導入されたもので、初期のデザインには見られません。
抜け感を大切にするケアホルムの意向を読み取って、新しく加える構造は、もはやデザインの一部となっています。
PK61の天板
初期のデザインには天板に黒色のスレートや玄武岩が採用されていました。
方向性のない均一な表面は、視線をエッジへと誘導し、正方形の形状を強く印象付けています。
天然素材をあえて無機質な正方形にデザインしたことで、室内に自然界の『石』を取り入れることに成功したのです。
その後、天板の素材は玄武岩から御影石に変更され、さらにガラスの天板が採用されました。
ガラス天板のテーブルは、1930年にミース・ファン・デル・ローエとリリー・ライヒがトゥーゲンハット邸の為にデザインしたバルセロナテーブルからインスパイアされたものと言われています。
過去の名作に倣い、新たなデザインを作り出すデザインの輪廻。
ケアホルムが彼らのデザインを賞賛し、更に高みを目指して努力したことがうかがえます。
大理石の採用
1960年にミラノトリエンナーレで開催されたデンマーク展の設営中に床材として使用されていたチッポリーノ大理石。
1961年からケアホルムはその白い脈を持った青緑色の石をPK61の天板として採用しました。
チッポリーノ大理石が採石できなくなると、ケアホルムはノルウェー産のポルスグルン大理石を採用。
このポルスグルン大理石はほかの大理石とともに1960年代から1977年までの長い間使用されました。
当時は硬度の高いフリント石を使用したロール仕上げが施され、マットな天板となっていましたが、現在のロール仕上げは凹凸が彫り込まれたスチール製ののローラーを使用して軽く削ったような表面仕上げとなっています。
ポール・ケアホルムの名作② PK91 フォールディングチェア