PKシリーズには品番があります。
ケアホルムは自身で決めたデザインカテゴリーに下記のような番号を当てはめ、その中から個々の品番を付けていくという法則を作っていました。
こんな感じです。
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PK00-09 チェア
PK10-19 アームチェア
PK20-29 ラウンジチェア
PK30-39 アームレスト付きラウンジチェア
PK40-29 テーブル・デスク
PK60-79 ローテーブル
PK80-89 デイベッド・カウチ
PK90-99 折りたたみスツール
PK100-119 アクセサリー
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しかし、PK33はスツールでありながら、アームレスト付きラウンジチェアのカテゴリーの品番が付けられています。
なぜならば・・・・・
3本脚、だからです。
【PK33 スツール】
1959年に ポール・ケアホルム によってデザインされた、PK33。
PK71 ネストテーブルや、PK80 デイベッドの構造技術を応用したこの丸いスツールは、それぞれ異なる素材のパーツが組み合わされています。
PK33は、ケアホルムが家具建築家としての基本とし、最終到着点としていた『理想とする素材・構造の家具のイメージに自身のスキルを当てはめる』を実行した、まさにすべてを凝縮したスツールです。
PK71 ネストテーブル
PK80 デイベッド
【厳密な幾何学的形態】
『丸』という形状は『前後の区別のないスツール』には最適でした。
脊椎を支える背もたれの必要性から解放されたケアホルムは、体の重心を快適に支えるためのデザインと素材に注力しました。
そしてPK80と同様、異なる素材を重ね、ゴム製のOリングと革製のタブで固定することで丸いスツールを作り上げたのです。
実は、最初のスケッチには螺旋状のコードやハリヤードの芯と思われる伸びたフィラメントなど様々な素材が描かれていたそうです。
色々と試行錯誤した結果、たどり着いた素材・構造だと言えます。
PK80:スチールの脚と合板をOリングで固定しています。
PK80:革製のタブをOリングに挟んで固定しています。
【オブジェクト① スチール】
主な構造は曲げられたスチールを溶接してつくられた3本脚のベースです。
3本の脚は座面の形状に合わせたもので、スツールが倒れる可能性を最小限に抑えてあります。
また、脚と脚の接合部は、構造的に最大の力を発揮する箇所でもあり、最も強固な接合を実現するために、ビスではなく溶接で接合しています。
【オブジェクト② 合板】
中央に向かって傾斜したドーナツ状の合板は脚の位置に合わせて切り込みがあり、Oリングで脚の下から巻き付けて固定されています。
【オブジェクト③ レザー】
最後の要素は合板のリングに吸い付けられるように重なるレザークッションです。
クッションをテーパー状にすることで、シートの端に添ってスリムな形状となり、リングの傾斜した側面でクッションを固定が可能になりました。
クッションにはPK80と同様に革製のタブが付いており、Oリングの下にはめ込むことでしっかり固定することができます。
クッションを外せば、スツールをらせん状に重ねてコンパクトに収納できます。
Oリングはスチール製のベースが合板の塗装を傷つけるのを防ぐバンパーの役割も果たします。
【サイズの遍歴】
1959年、ケアホルムはターンビーの新市庁舎のパブリックエリために、直径60cm、高さ40cmのバージョンを6個制作しました。
1982年、フリッツ・ハンセンが製造を始めて以来は、直径53㎝、高さ34㎝のオリジナルのサイズで製造しています。
ポール・ケアホルムの名作② PK91 フォールディングチェア
ポール・ケアホルムの名作③ PK54 / PK54A ダイニングテーブル
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