さて、1960年。
世界初のデザイナーズホテルをデザインした アルネ・ヤコブセン 。
全てをデザインすることにこだわり、開業してからもしばらくデザイン監修に携わっていたそうです。
しかし、オーナーが代わり、ヤコブセンが情熱を注いだホテルは次第に姿を変え始めます。
没後、1980年代になるとヤコブセンの人気にも陰りが見えはじめ、大規模な改修工事がなされました。
その中で、唯一当時のまま残されているのが『606アルネ・ヤコブセンスイート』と呼ばれる部屋です。
コペンハーゲンの町からインスパイアされたという色使い。
家具に使用されている特徴的なファブリックは青銅の緑青を、木材の茶色はレンガをイメージしています。
屋上に上がって町を見下ろしたというヤコブセン。彼の眼にはこの色が映ったのでしょうね。
幸運にも残されたこの部屋は、ヤコブセンのこだわりについて多くを語ってくれます。
それをよく表しているのが、この枕のないベッド。
直線と曲線のコントラストが魅力のこのホテルに、枕のふくらみは中途半端だったのでしょう。
ベッドは直線にこだわり、乱れることのないようベッドメイクにも配慮しました。
ゲストがチェックインし、この部屋に入ってしばらくしてから、ホテルのスタッフが枕を届けたそうです。
同様のこだわりがカーテンにも。
裾の縫い目の部分に金属が仕込まれていて、重りになっています。
今ではそれほど珍しくないですが、当時これを採用したのはヤコブセンが初めて。
縦のラインは直線をキープ。まるで波のようなドレープは自然を愛したヤコブセンならではの演出です。
そして、彼は光にもこだわりました。
曇りがちなコペンハーゲンの気候。
ベッドルームとリビングルームのパーティションにカーテンを用い、少しでも自然光を通すように配慮しました。
照明は極力少なく、しかし機能的。
ドレッサーの蓋を開けるとスイッチが入る仕掛け。いわゆる、『女優ライト』。
ドレッサーの ドロップチェア に座る奥様を鏡越しに見るのが好きだったというヤコブセン。
ここに座った女性を美しく演出することも考えていたのですね。
壁付けの照明はスライドして必要な場所で使うことができます。
足りない明かりはフロアスタンドで補うのが一般的。
SASホテルの為にデザインされた名作のコレクション。約80%ものデザインがプロダクト化されたそうです。
キャンドルホルダー、カトラリー、部屋のキーもあります!
ドアノブは左手でつかんだ時の親指のフィット感まで計算されています。
ヤコブセンには関係ありませんが・・・
70年代になって導入されたHITACHIのエアコン。
当時、最先端すぎて不似合いだったこのエアコンも、今ではヴィンテージに(笑)
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SASロイヤル606号室のエッグチェア、スワンチェア、ドロップ。
緑青色のファブリックでお作り致します。
ご興味のある方はお問合せくださいませ!
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