さまざまな世界に”巨匠”と呼ばれる人がいて、そういう人たちは総じて作品の素晴らしさはさることながら、しばしばその人間性にまで注目される。威厳に満ちた人、多くの尊敬を集める人、奇人変人として孤高の天才と呼ばれる人……など。
アルネ・ヤコブセンはどうだろう? 彼が遺した建築や家具、プロダクトの素晴らしさについては、今さら説明する必要もないだろう。対して、彼の人柄については、日本の雑誌などではこれまでどちらかというと、傲慢とか、ケチとか、職人と喧嘩するとか、ネガティブに面白おかしく紹介されることが多かったような気がする。
ぼくは実際にヤコブセンと仕事をした経験を持つ人にインタビューしたことがあるのだが、彼らの話を聞いていると、必ずしもそうではない。ぼくが話を聞いた人たちは、ヤコブセンの晩年にともに仕事をしていたので、多くの人間がそうであるように、日本のメディアが伝えたイメージは、ヤコブセンの若かりし頃のことなのだろう。彼らは、「ヤコブセンは所員の意見に耳を傾け、いい部分を引き出そうとしていた」と語っていた。
ヤコブセンに関する本を読んだり、彼を知る人の話を聞いたりしていると、彼に対する興味は増すばかり……。決してスマートではないかもしれないけど、きっと人間臭い人だったんじゃないだろうか、と思う。
次回は、そんな彼の”やさしい”一面が垣間見られる建築を紹介したい。
(KENTARO)
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*ヤコブセン、フリッツ・ハンセンのエピソードが満載です!
萩原健太郎
http://www.flighttodenmark.com/
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