ぼくは2004年夏から1年間、デンマークに暮らした。それまで勤めていた会社は、北欧に限らず、ドイツやイタリアなど割と幅広く扱っていたのだけれども、当時セールスを担当していたぼくがお客様に薦めるのはたいてい北欧の家具だった。その中でも多かったのが、ヤコブセンの家具。セブンチェアやアントチェアを何度薦めたことだろう……。でも、ふと気づく。ぼくはお客様に熱っぽく語っているけれども、実はそれらが生まれた国のことをよく知らない。そう思うと、居ても立ってもいられなくなり、会社を辞めてデンマークへ渡ることに決めた。30を過ぎていたし、結婚もしていたし、貯金もわずかだし、言葉もできなかったけど、案外楽天的だった。飛行機は「SAS」と行きたかったけど、少しでも節約するために、「シンガポール航空」にした。2004年8月11日、ぼくのFLIGHT TO DENMARKが始まった。
(KENTARO)
写真は、トランジットで立ち寄ったシンガポール・チャンギ国際空港で見かけたアントチェア。アントチェアが世界的な椅子ということに改めて気づいた瞬間だった。うれしかった。
【2011年5月発売】
『北欧デザインの巨人たち あしあとをたどって。』(ビー・エヌ・エヌ新社)
http://www.bnn.co.jp/books/title_index/design/post_160.html
*ヤコブセン、フリッツ・ハンセンのエピソードが満載です!
萩原健太郎
http://www.flighttodenmark.com/
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