SANAAの「Rolex Learning Center、EPFL」が脚光を浴びています。
2003年のコンペティションでザハ・ハディド、ジャン・ヌーベルなど並み居る巨匠を
抑えて圧倒的支持を受けて当選した作品がいよいよ出現しました。
スイス・ローザンヌの美しいレマン湖に羽を休める巨大な飛行体のようです。
緩やかな起伏でどこまでも続いているONEルームの空間は無重力世界のような
未体験ゾーンです。
SANAA作品には白いアントチェアが良く登場します。
透明なガラス曲面の続くなか、アーントチェアのオーガニックな曲線は見事に
調和しています。
ヤコブセンのデザインには頂角のないデザインが多い。エッグ、スワン、セブン、
アントはさながら、メビウスの輪、クラインの壷のように無極ですね。
形を辿って見ると始点,終点がありません。方向性や表裏がない不思議な形です。
自然界のものはすべてこのようにオーガニックであることを思わせます。
(エッグチェアについては(KEIZO)が詳しく書いていますのでご参照ください。)
対して矩形というのは人類が初めて考え出したものです。
古代ギリシャの幾何学。西洋が意志を持って自然に挑戦した始まりです。
「2001年宇宙の旅」に度々登場する「モノリス」はいかにも象徴的です、
その直方体は.自然界には存在しないもので、叡智の造形、神の啓示のようです。
(もっとも、アーサーCクラークは続々・編「3001年終局の旅」のなかで
このモノリスはエネルギー生命体として悪意に満ちて、人類を滅ぼすモノ
へと変身しますが!)
ところで最近建築はこの矩形の呪縛から解き放たれたように自由な表現をしています。
コンピューターの進化とともに構造体をデジタルテクノロジーが支えています。
SANAAのRolex Learning-centerは私の勝手なイメージですがアインシュタインの
「時空は曲がっている」という相対性理論の概念図を思い起こさせます。
ハディド、ゲーリーの造形は箱体から遠く離れて新しい時空を出現させているようです。
造形の原点が自然界から生まれ、人為的に幾何学的な進化をし、
デジタルテクノロジーがまた超自然的造形に進化する過程は止まる先を知りませんね。
(TAKEZO)
㈱KEIZO のホームページです。 http://www.republicstore-keizo.com
“終わりのない形” への2件のフィードバック
「箱体から遠く離れて新しい時空を出現させているよう」
確かに近年の建築は未来的有機性がありますね。北京オリンピックの鳥の巣も圧倒的な力強さがありましたしね。
内装施工の仕事をしております関係で、
CEKさんコメントありがとうございます。
もう一つの潮流、限りなく透明にちかづいていく建築。
境界は目には見えず精神的なモノとなってきているコトに関心があります。
結界という思想が日本には古くからありましたね。
こんな視点から空間を考えてみたいと思っています。
(TAKEZO)
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