RINチェアは2009年春にフリッツハンセン社から新製品として販売開始された椅子です。デザイナーはフリッツハンセン史初めての日本人デザイナー(東洋人としても初めて。)の紺野弘通さんです。紺野氏は日本の大学でデザインを専攻し、在学中にデンマークに旅行をしました。初めての海外旅行でした。コペンハーゲンに到着した彼は、まず長い散歩に出かけ、ある銀行の建物の中の光景に引き寄せられ、中へと進みます。そこにはポール・ケアホルムの椅子やテーブルがあり、天井からはたくさんのPHランプが吊るされていました。その銀行の中のインテリアデザインの素晴らしさに魅せられ、30分も魔法にかけられたようにその場を動かなかったそうです。その後、北欧のデザインに開眼した紺野氏はスウェーデンのウメオ大学デザイン科に進み、彼独特のスタイリッシュなデザインを展開し始めます。彼の作品は次第に注目を集めるようになり、中でもプロダクトデザイン界の世界的大御所の一人であるロス・ラブグローブはその才能に感激します。そして彼をロンドンの自身のデザインオフィスに招き入れました。ここで3年過ごした後、紺野氏はロンドンを拠点として、インターナショナルなデザインの舞台への階段を昇り始めます。
(KEIZO)
紺野弘通氏
鳥の巣からデザインをインスパイアーされる。
RINと言う名前は、紺野さん自らが提案したもので、「凛」と「輪」と言う2つの意味を兼ね備えています。凛は、はっきりとした立ち振る舞いをしめす言葉で、まさにこの椅子の姿を表しています。また輪は、花束の中の1本ではなく、孤立して咲く一輪の花の事。華麗でも豪華でもないですが、花本来のあり方に忠実で、力強く、洗練されています。ホール・ケアホルムからアルネ・ヤコブセンに至るまで、多くの偉大なデンマーク人デザイナーが、日本のミニマリズムから影響を受けてきました。だからこそこの椅子は、現代的な要素で構成されているにもかかわらず、フリッツハンセンの名作の数々とも完璧にマッチするのでしょう。
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